ご挨拶

  
Prof Iinuma

第37回日本てんかん学会
会長 飯沼 一宇

第37回日本てんかん学会の会長を仰せつかり、仙台で開催することは大変光栄であり、また責任の重さを実感しております。てんかん学は臨床では精神科、神経内科、小児科、脳神経外科などに加えて基礎神経科学の分野からの参加もあるきわめて幅広い学際的分野です。近年の基礎神経科学の発展により神経興奮、抑制のメカニズムの解明が進行し、分子生物学の分野の発展もその物質的基盤からの解明に寄与しております。エレクトロニクスの進歩に伴う種々の脳機能検査法の発展も目覚ましく、これらがてんかん学の進歩を推進していることは誰しもが認めるところでしょう。

このようなことを踏まえ、今回の学術集会のメインテーマを「てんかん抑圧に向けて ―最新の知識からトータルケアへ― 」といたしました。最新の学問の進歩をてんかんを患い、それに悩む患者様およびご家族の方々の究極の希望であるてんかん制圧へ向けて努力していきたいという意図からです。

今学会では海外から、PETのてんかん応用として有名なミシガン小児病院のChugani教授、Panayiotopoulos症候群などの特発性小児部分てんかんのテーマでロンドン大学のKoutroumanidis先生をお呼びすることにしました。

シンポジウムは「新しい脳機能検査法とてんかん」、「てんかんの包括医療」の2つのテーマとしました。いずれも当代随一のシンポジストによる講演が聞けると考えています。

また、法的問題検討委員会からの提案として「道路交通法改正後のてんかんをもつ人における運転免許」のワークショップを企画しました。

神経科学セッションは今年も「てんかんの分子病態」をテーマにして一般演題から選択させて頂きました。

演題は例年よりやや少なめの163題ですが、神経科学セッション5題を含めて113題を口演、50題をポスター発表にさせていただきました。いずれも内容の濃い発表です。ご期待ください。多くの会員のご参加によって学会を盛り上げていただけることを願っております。

皆様が日夜励んで研究しておられる成果が「てんかん征圧」へ向けた歩みの一歩となる学会となるよう祈念いたしております。

10月下旬の仙台は多少肌寒くはなりますが、周辺の山々は色づき美しい景観を楽しめます。多くの方のご参加を心よりお待ち申し上げます。